逸話文庫:1:文藝:25
△
◀
▶
?
内外
古今
逸話文庫 第一編
文藝
○ 塙檢校
有眼者
(
いうがんしや
)
を笑ふ
塙
(
はなわ
)
檢校
(
けんぎやう
)
保己一
(
ほきいち
)
甞
(
かつ
)
て人の求めに應じ、
夏夜
(
かや
)
源氏物語を講ぜしが、
忽
(
たちま
)
ち狂風一
陣
(
ぢん
)
吹き來て
燈火
(
とうくわ
)
を
滅
(
け
)
せり、保己一盲目なれば之を知らず、
猶
(
な
)
ほ其講を
續
(
つゞ
)
く、
坐客
(
ざかく
)
茫然、
暫
(
しばら
)
く講を
止
(
とゞ
)
めんことを
請
(
こ
)
ふ、保己一言ふ何の爲めぞ、曰く燈火
滅
(
めつ
)
して
滿坐
(
まんざ
)
闇黑
(
あんこく
)
、
書
(
しよ
)
を見るを得ずと、保己一笑つて曰く、有眼者
何
(
なん
)
ぞ
其
(
そ
)
れ不自由なるやと
出典未詳。