逸話文庫:1:武事:14
内外古今 逸話文庫 第一編
武事
○ 片井京助傍裝雷火銃を創製す
片井京助は
松代藩(
眞田家)の
士なり、
甞て
思を
砲術に
潜め、
傍裝雷火銃を創製す、
捷發比なし、藩侯侍臣に命じて傳習せしめ、
將机廻秘事筒と
號す、これを幕府に
献じ、幕府賞するに
鞍鐙を以てす、後
十餘年西洋
庭裝銃
始て
傳來す、
世人その
發明に驚かざるはなし
(
同上)
小宮山南梁。
原文ルビ「けうすけ」。
原文ルビ「らいくわじう」。
原文ルビ「かたはらそう」。
原文ルビ「ほうじゆつ」。
「思ひ〔おもい〕を潜む」は心の内に深く考える(考案・工夫する)意。
発砲の早さは比べるものがない。「捷發」は原文ルビ「せうはつ」。「比」は「たぐひ」とも訓む。
將机は牀(床)几などとも書く。陣中で座ることのできる組み立て椅子。
利発なこと、賢いこと。発明品と解してもここは通じる。