逸話文庫:1:武事:6
内外古今 逸話文庫 第一編
武事
○ 我が指の墜ち在る所は第一要害の地
佛將ファベール敵國と戰つて其城を
圍む、一日
壘を築かんとして、
出て
廓外の野を巡視す、
偶ま
流丸飛び
來つて
其一指を
墜す、從卒皆知らず、ファベール知らざる
眞似して過ぐ、
已にして顧みて其從卒に謂て曰く、我れ
熟ら地の理を察するに、其第一
壘を築く
可き
個所は、我が
手指の
墜ちある所なりと、衆驚き探すに、
果して
後邊百歩許の地にありしと云ふ
出典未詳。
アブラハム・ドゥ・ファベール(Abraham de Fabert)(1599―1662)か。
やがて。その後。しばらくして。
よくよく。
二百メートルほど後方。一歩は曲尺(かねじゃく)の六尺で約2メートル。