逸話文庫:1:文藝:10

内外古今 逸話文庫 第一編

文藝

○ 千枝子が歌諸名家をして口を箝ましむ

村田春海諸人と伴ひ、隅田の新梅園に遊びしとき、千枝子が咏ぜし土筆つくしの歌、
つめばかつうきを慰む草の名を心づくしとなどかいひけん
春海これを賞し、かゝる秀歌のいづる上はとて、ついに皆歌なくして歸る、千枝子は築地の詩僧冷然れいねんの妹にて、後に信向しんかう寺に嫁す、歌は千蔭に學べり、