内外古今 逸話文庫 第一編
文藝
○ 村田春海詩を善くす
村田春海翁は加茂翁の門人にして、其の國學に長ぜられしは人の知る所なり、殊に和歌和文は
近世無比の名手と稱せられしが、詩文に巧みなりしを知るもの稀なり、高田與淸翁の隨筆に、春海翁の七言古一篇を載す、
醉鄕主人本財雄、
開㆑園搆㆑樓江城東、
家僮千指列
㆑鼎食、
素封恰是擬二王公一、
主人驕惰性且癖、
治㆑産何問計然策、
讀
㆑書學
㆑劍兩不
㆑成、
縱㆑酒沈湎惟自適、
日入
二醉鄕
一營
二糟丘
一、
隨意交遊無㆑所㆑擇、
相嘆相歡少年塲、
不㆑惜黄金供㆑結㆑客、
花前歌舞東山春、
月下觴詠墨水濱、
自謂行樂長若
㆑此、
寧知浮雲變態新、
囊中之物一旦盡、
腰間長劍向㆑誰親、
昔時綢繆兄與
㆑弟、
今日何異二行路人一、
嗚呼世間守錢虜、
應㆑笑坎壈纒二此身一、
今の國文家知らず此伎倆ありやなしや、(
同上)
「詩文管窺」(存否未詳)。前話を参照。