逸話文庫:1:武事:15
△ ◀ ▶ ?

内外古今 逸話文庫 第一編

武事

○ 長曾我部(ちやうそがべ)元親(もとちか)垣見(かきみ)和泉(いづみ)の怯(けふ)を笑ふ

文祿五年、朝鮮にて泗川(しせん)と云ふ處に城を搆(かま)へたる時、門脇(もんわき)の狭間(はさま)を垣見和泉守家純(いへずみ)あげて切れと下知しけるを、長曾我部元親見て、人の胸あたりより腰あたりを當(あ)て切たるこそよけれといふ、和泉守下(さ)げたらば敵城内を覘(ねら)ふべきといふ、元親此門へ押寄(おしよ)せ心よく内を見るほどに城兵よわりたらば、一支(ひとさゝへ)もすべきや、上げて切らば敵の首の上を射(い)べきかと笑ひけるとぞ  (湯淺常山)