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新・漢文エディタ ユーザーズ・マニュアル

 〔起動〕 できあがったKanbunEditor_v0.99.exeをダブルクリックすると起動する(Windows対応)。ウィルス検知ソフトがエラーメッセージを出すことがあるが、「安全」を確認するとそのまま起動画面になる。

 〔基本操作〕 入力画面は大きな「本文」画面とその下の小さな「ノート」画面と、2つある。

 訓読漢文の体裁にしたがって、頭から《漢字ひらがな交り文》で入力する。これを元に訓読漢文をはじめ、各種の変換を行う。返り点はボタンを使う。本文には読みがな(ルビ)と語注を加えることができる。その他、書誌事項(専用ボタンあり)や必要なメモ、解釈類は「ノート」欄に入力する。本文・ノートとも、字数は数百字以上でも軽く書き込めるはずだが、一度に入力できる程度で新しいデータに移るとストレスなく続けられる。
 
[例] 宋人に有り[㆓]耕す[㆑]田を者[㆒]。

 入力が終わったら、「登録」ボタンを押すだけで、次の入力操作に移る。終了するときは、そのまま「閉じる」ボタンでプログラムを終了する。基本操作は、これだけである。

 すでに入力されたデータがあれば起動時に最新のものを読み込み、そのまま入力作業を続けることができる。何もない場合には、プログラムのあるフォルダの直下に「data」フォルダを作り、そこに「data_日付」の名前で自動的にJSONファイルとTextファイルを同時に作成する。テキストファイルは、万一のバックアップ用である。

 日付が変わると起動時に確認メッセージを表示した後、新しい日付のファイルを自動で作成するモードになる。以前のファイルに追記する場合にはファイル「選択」ボタンを使ってファイルを選び、「保存」ボタンで保存していく。

 ヘルプは、各ボタンをマウスオーバーすると、最下段のステータス表示部分に必要最小限のガイドが表示される。変換結果なども、この部分に表示する。その他、「追記」「上書き」のどちらのモードになっているかをタイトルバーに表示する。

JSON(ジェイソン)は、テキストを次のような体裁で保存するファイル形式である。拡張子は「.json」になる。「.txt」「.csv」と同様に、プレーンテキストに必要最小限の記号を加えただけのものなので、エディタ等で開けば、中のデータを「読む」ことができるうえ、検索や整形等を可能にするので、簡易テキストデータベース(数千、数万件でも問題ないという)に向いている。ただ、エディタでこれを処理するには、タグ付けが面倒なので読み書きは専用のコマンドで行うほうがまちがいがない。
(日付はデータベースファイルの「主キー」に当たる。一意でなければいけないので、時分秒まで入れるようにしてある。)

{
    "日付(年月日時分秒)": {
        "〔本文〕\n本文1": "〔ノート〕\nノート1"
    },
    "日付(年月日時分秒)": {
        "〔本文〕\n本文2": "〔ノート〕\nノート2"
    }
}
 〔データの加工〕

 【本文横のパネル】

 返り点、竪点、再読文字、読みがな(ルビ)、語注等、訓読漢文の入力に必須の記号類をボタンで入力できるようにし、入力を簡便に、正確に行えるようにした。

 入力内容は各種変換や新規入力に伴い、テキストエリアから消去されることがある。その他、まちがって入力した場合などに使えるように、UNDO(元へ戻す:CTRL+Z)、REDO(やり直し:CTRL+Y)の操作をボタン化した。また、選択したテキストエリアの語句を一括でReplace(置換)するボタンを付けた。

 本文から読みがなと語注を抽出してリストボックスに表示し、さらにテキストファイル(読みがなはoutput_ruby.txt、語注はoutput_note.txt)に「追記」できるようにした。これにより、難しい語句の読みを再確認したり、語注だけを単語張のようにリストアップすることができる。出力の書式を変更し、後で読みや意味を確認する便宜を図った。また、本文から読みがなと語注を取り除いて一時的に表示するボタンもつけた。これにより、例えば本文欄で右クリックして「全文選択」、「コピー」し、ワープロソフトやエディタに貼り付けるなどの利用法も考えられる。

 下段には、ノート欄に挿入する書誌事項を自動で作成するボタンをつけた。書式を決めることにより、あとで記すTreeView画面で検索・抽出する便宜を考えた。書誌事項は、細かくするといくらでも増えてしまうので、必要最小限の内容を入力すれば、自動的に体裁を整える。また、再度表示したときに前の内容が表示されるので、あらたにデータを入力するときに、変更部分だけを書き直せばよいようにしてある。新規に記入するときには一括で削除することもできる。

 オリジナル仕様として、和漢混淆文(詳しい内容は、ver.0.98の記事を参照。)の変換ボタンと割注の変換ボタンをつけた。通常の和文に交じっている漢文訓読表現を個別にタグで囲み、この部分についてだけ訓読漢文の体裁で表示できる縦書きHTMLを出力する。割注にするところも当該の章句を選択、または入力して、5行までの割注としてこれもHTMLに出力する。表示を行った後は、和漢混淆文についてはブラウザの表示部分をコピー&ベーストしてWordに貼り付けることができ、割注については(Wordが対応していないので)ブラウザからPDFに保存することができる。

 【本文下のパネル】

 表示されている本文とノートを、白文HTML、原文タグ、及び「旧・漢文エディタ」での変換に使えるタグに変換し、必要なものをチェックボックスで選択して「変換」ボタンでHTMLに出力できる。(通常データと同じくdataフォルダに保存。)これをブラウザで開くと、HTMLを選択した場合は「訓読漢文」形式で表示する。これをコピー&ペーストでWordに貼り付ければ、そのままの体裁で表示されるので、フォントの種類や大きさを適宜変更して利用することができる。また、語注は取り出して、ノートとともに最後に付け加えるように出力を調整してある。

 本文とノートを、Word、Excel、PDF形式で自動保存できる。docx2pdfライブラリの仕様により、PDFへの自動変換にはときどき失敗することがあるが、Wordへの変換はできているはずである。Excelに出力すれば、「旧・漢文エディタ」同様、一貫したデータの蓄積が可能となる。(もっとも、メニューバーのコマンドを使ってJSONフォーマットから一括でExcel形式に変換することもできる。)

 この「漢文エディタ」の最大の特徴は、「旧・漢文エディタ」から受け継いだ「書き下し文」変換機能*である。語注を別記して、瞬時に書き下し文に変換する。まだ不十分なものだが、実用上なんら問題ない。ただし、訓点の入力に不整合があると、場合によりプログラムがフリーズするので、返り点のチェックを初めに行うようにしてある。万一フリーズした場合は、Windowsお決まりのCTRL+ALT+Delでタスクマネージャを開き、pythonを強制終了し、プログラムを再起動するしかない。したがって、書き下しを試すのはデータ保存を完了してからにしたほうがよいかもしれない。

* [「漢文エディタ」小史] 1997年に「Taiju's Notebook」のwebページを始め、当時多少盛り上がっていた電子テキストのストックが理論ほどには実体として乏しいことに問題意識を持ち、版権の切れた出版物をもとに古典の電子テキストの製作、公開に励んでいたが、2006年に当時読んでいたPC雑誌の記事を読み、VBAでカード型データベースを作れることを知って俄然興味が湧いたので、その年の前半には自作「漢文エディタ」を立ち上げた(https://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/progress.htm#vols)。現在データを置いているninja-web.netとも関連するかと思うが、そのさらに以前、カード型データベースのASCAやNinja5、とりわけZERO2を愛用していた(FEPのKATANAはVJE-β、γ等とともに便利だった。)ので、そのレミニッセンス(名残)のためかとも思う。職場でもたまにプリント作りに活用していたが、「マクロ禁令」のために途中で使えなくなった。「書き下し文」変換は、2012年前後から工夫し始めたようである。すべてひと回りもふた回りも昔の話だ。途中で正規表現を導入したら、変換が瞬時に行えるようになったのが感激だった。現在なお変換ミスは残っているが、一つ直すのにもまず「犯人捜し」からデバッグを始めなければならない。若い時はヒマと体力・気力に事欠かなかったが、現在はどれだけ進められることか。


 「漢文エディタ」の基本構想は、データの製作と蓄積である。教員による問題プリント作成というようなスコープの狭い発想には立っていない。プログラムを起動して、データを入力したら「登録」ボタンで追加していく。ただこれだけのツールである。これを活用するために副次的な諸機能を盛り込んだ。旧版同様、てんこ盛り状態になってしまったので、今後付加機能を付ける場合にはメニューバーを活用することになるかもしれない。

 上に書いたとおり、データの入出力を基本的に自動(固定)モードにしてあるので、既存のファイルにはファイル「選択」「保存」ボタンを使う。これでファイルを選択すると、選んだファイルのデータ数や内容、データ移動のボタン類が横に表示される。◀◀で5つずつ、◀は1つ前のデータに戻り、▶で1つ次へ、▶▶で5つ後のデータに進み、初めと終わりのデータになったところでメッセージを出して止まる。真ん中の四角に×のボタンは表示データを削除するものなので、注意して使用する。データ数は下のカウンタ等に即座に反映する。基本的に「上書き」モードになるので、中止するときにはメッセージを出すようにしてあるが、それが出ない場合には「登録」ボタンを押せば、当日のデータファイルにデータが入り、そのまま移動・表示ボタン類は消えて、自動「追記」モードに戻る。

 【メニューバー】

 データはJSONを基本とする。Textはバックアップ用で、これは読み込むだけである。活用の幅を広げるため、JSONとExcel(.xslx)ファイルとを同期できるように、メニューバーに変換・追記・統合のコマンド類を入れてある。末尾に「>>」のついたコマンドは、自動で処理する。できたファイルは、JSON、EXCELともに、最上段のTreeViewへの読み込み操作により、プログラムの中でEXCELライクなウィンドウにデータを表示する。これは大変便利なUI(ユーザー・インターフェイス)で、ここからデータのソート、抽出、削除、書き出し等を行うことができる。これにより、新しいデータセットを作成することが可能である。

 「テキストファイルの統合」により、バックアップ用だったTEXTファイルについても柔軟な操作を提供する。「編集」メニューには「本文」を対象とした「検索」と複数のテキストファイルから語句を検索・抽出して結果を書き出す「複数ファイルから検索・抽出」メニューをつけた。

 また、「編集」メニューと右クリックによるコンテクスト・メニューに、新旧字体の相互変換コマンドを加えた。マウスでテキストを選択してその部分だけを変換することもできるし、選択していなければ「本文」については表示されたテキストすべてを対象として変換する。「ノート」部分に引用したものを変換したいときにはコンテクスト・メニューを使えばよい。

 「旧・漢文エディタ」のために、本文に読み込んだテキストを新・旧両方のタグに変換できる。また、「旧・漢文エディタ」付属の「簡易版」では若干タグが変わっており、それに対応して新・旧のタグに変換できるメニューを加えた。ファイルを選んでタグを変換できるようにもした。これらを使うことにより、これまでのタグ付けのぶれを統一することが可能である。

 v.0.98の説明(「これまでの状況」を参照。)に書いたように、このエディタは普通の日本文も保存できるので、いろいろな記録に使うことができる。TreeViewを活用して、異種のデータを整理するなど、アイデア次第で活用の途は広がっていくと思う。ちなみに、「オマケ:「日記」を保存」メニューで、その日の日記や感想をワンクリックで残すことができる。(これは他のデータ類と区別するために「ドキュメント」フォルダに自動保存するようにしてある。)

 【その他、日本語入力について】

 TKinterというヨーロッパ発祥のGUI(その中のテキストウィジェット)は、日本語入力のためにはあまりありがたくない特徴を持っている。日本語IMEを通したドット・ハイフン・丸かっこ類の半角変換に対応していないため、これを受け付けず、データが入力されないという現象である。これを回避するために、数値・記号類はとりあえず全角変換(AtokならF9キー割り当て)で行う必要がある。その代わり、データを保存した時点で数値・記号類は半角に変換するしくみにしてあるので、出来上がったデータの一貫性は保たれており、意図にないデータ消失も防ぐことができる。入力にあたっては、この点はご注意ください。書誌データのページ数などは、数値が「100-200」のように並んでいれば、pp.で示すように工夫している。出力は数値が一つなら「p.100」、上記の入力なら「pp.100-200」のようになるはずである。